家畜の保護と福祉は、ヨーロッパにおける畜産の根幹をなしています。EU加盟国では、家畜の保健衛生に対して厳格な基準が設けられています。これに加え、農家も家畜の健康を守るべく自主的に取り組んでいます。

2022年1月28日をもって、EUでは予防的治療のための全頭投与をはじめとして、いかなる抗生剤の定期投与も禁止されています。家畜の繁殖や飼育にあたり、劣悪な扱いや衛生環境を抗生剤で補うことは違法となりました。この措置は、EUの畜産農家による、より責任ある持続可能な抗生剤の使用に向けた重要なきっかけとなりました^[1]。

畜産農家は、農場での保健衛生環境を良好に保ち、所定の手続きにしたがい家畜に予防接種を受けさせることが義務付けられています。健康への脅威を把握・特定するべく、獣医による定期検査も実施が求められています。

EUで課される主な要件^[2]：

保健衛生環境：               畜産農家は、伝染病の発生を防ぎ、まん延リスクの低減のため、清浄な飲み水の確保、適度な明るさ、風通し、家畜ごとの面積、廃棄物の適切な管理をはじめ、農場での保健衛生環境を良好に保つことが義務付けられています。

予防接種：         畜産農家は、所定の手続きにしたがい、家畜に予防接種を受けさせなければなりません。伝染病の発生を防ぎ、まん延リスクを低減するうえで、予防接種は不可欠です。畜産農家は、予防接種の実施状況を意識的に把握しながら、すべての家畜に予防接種を受けさせることが求められます。

獣医による定期検査：   家畜の健康状態を把握し、健康への脅威を特定するため、獣医による定期検査が義務付けられています。伝染病の発生を防ぎ、家畜全体を健康に保つべく、獣医は各農場を訪問して、家畜の体力、病気の有無、飼料の摂取状況など健康状態を評価します。

抗生剤投与の制限：      EUでは規制により、畜産における抗生剤投与が厳格に制限されています。薬剤耐性の拡大を食い止め、人々の健康を守るべく、畜産農家には、抗生剤の投与量および出荷までの使用禁止期間を守る義務が課せられています。

畜産農家への啓発活動と研修：              畜産農家は、家畜の病気の予防についての研修や講習会に参加することを義務付けられています。これらの取り組みでは、家畜の健康状態を良好に保つための新しい手法、技術革新、優良事例についての最新情報が共有されています。研修は、畜産農家が家畜管理のための知識、技能、ツールを身に着けられるように実施されています。

EUは、人々の健康を脅かす薬剤耐性の拡大を防ぐべく、家畜への抗生剤の投与を規制により厳しく制限しています。抗生剤の投与は、医学的に正当な理由がある場合にのみ認められます。畜産農家が抗生剤を投与しなければならないのは、獣医により家畜が病気と診断されるか感染が確認された場合に限られます。抗生剤の入手も制限されています。家畜の健康状態を評価し、病気を診断した獣医から処方されなければ、畜産農家は抗生剤を入手することはできません。このようにして乱用が防がれ、適切な管理下での抗生剤の責任ある投与が図られています。

家畜の健康を最優先することで、家畜の福祉が向上するだけでなく、消費者にもより上質な安全な畜産物がもたらされます。このようにEUでは、畜産農家、獣医、規制当局が密接な連携により、家畜の健康水準を高く維持しながら、持続可能な畜産と人々の健やかな暮らしを支えています。

写真: Freepik / aleksandarlittlewolf

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[1] https://serwisweterynaryjny.pl/prawo-na-co-dzien/przepisy-dotyczace-stosowania-antybiotykow-u-zwierzat-530.html

[2] https://koalicjazywaziemia.pl/2022/02/03/odejscie-od-rutynowego-stosowania-antybiotykow-w-europejskich-hodowlach/