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牛肉の色沢は、主にヘム色素からなるミオグロビン濃度に左右されます。この濃度は、牛の品種や月齢、そして肥育中の運動量によって異なってきます。飼育環境の温度にも色調は影響を受け、気温が低いほど色が濃くなります。したがって、牛の放牧は肉の品質の主要な決定要因となります。EUにおいては、牛は年の大半にわたり草地で放牧されています。牧草の高さが10センチ程度になる早春から秋にかけて、牛たちは牧草地で活動的に過ごします。伝統的に、EUでは牧場に生えるさまざまな植物を含んだ粗飼料(青刈り)を牛に与えています。

EU産牛肉は脂身が少なく、多くとも5%以下です。また、牛肉はタンパク質が豊富で、その割合は18‐23%にものぼります。含有ビタミン類もA、D、E、B1、B6、B7、B12などさまざまです。また、他の家畜の肉に比べて、牛肉の鉄分は吸収しやすいのも特徴です。

脂肪交雑、いわゆる霜降りの度合いは、肉の旨味、肉汁の豊かさ、そして香りの決め手となります。最近では、牛の飼育方法を工夫することにより、霜降りの度合いも改善できることが分かっています。その脂身は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、および多価不飽和脂肪酸からできています。牛肉に含まれる共役リノール酸(CLA)は、抗ガン作用を持ち、体脂肪も燃焼させ、免疫力を高めるなど、健康増進に重要な栄養素です。牛肉は、子羊の肉に続いて最も共役リノール酸が豊富です。

牛肉の栄養バランスを整えるうえで、飼料の選択は重要です。脂肪酸の成分を改善する鍵は、牛をゆっくりと育てることです。そのため、牛には青刈り飼料がふんだんに与えられ、放牧と植物油の飼料添加も積極的になされます。こうすることで、牛は栄養豊富な牧草、マメ科植物、ハーブもいろいろと摂取することができます。

牛肉の熟成

牛肉の噛み応えは、性別や月齢によって異なります。高齢の牛では、コラーゲンの架橋が進み、高温でも溶けなくなります。このため、牛の肉質を確保できる月齢は、30か月目までとされています。日本と香港向けの場合、輸入業者の要望も満たしつつ、必ず月齢30か月以下の牛肉を輸出しています。

肉の噛み応えを程よくするため、屠殺後の取り扱いには工夫が必要です。屠殺直後の牛肉は硬直して固すぎます。しかし、熟成させることにより、肉のタンパク質が分解され、きめ細かく柔らかくなります。このように、熟成は牛肉の品質を決定的に左右します。

熟成(エイジング)は、 乾燥熟成とウェットエイジングに分類されますが、重要なのはいずれも熟成時間と温度です。

乾燥熟成

乾燥熟成では、大分割された肉(たいていは骨付き)を、約2‐4°Cの低温で湿度80%程度の空気にさらして数週間保存します。これにより、表面を通して水分が抜けていきます。乾いた表面は切り取られます。水分が抜ける分、重量が減るため、肉はより高価になります。熟成条件は、牛の品種や月齢などによって、調整が必要です。

ウェットエイジング

ウェットエイジングでは、ステーキの大きさに切って真空包装した肉を冷蔵庫に数週間入れて低温保存します。真空包装により水分が抜けない状態で、タンパク質の分解が進み、肉は噛み応えがよくなる一方、ジューシーに保たれます。

EUの輸出業者は、日本や香港の輸入業者の要望に沿って、上質で五感に響く牛肉を、調理に適した形で提供することができます。日本と香港向け牛肉輸出の認定業者リストは、こちらのリンクからご覧いただけます。