
牛肉と牛内臓肉は、認定業者のみが日本および香港に向けて輸出できます。その一覧は、獣医検査庁の公式サイトで掲載されています。その輸出に際しては、衛生証明書の添付も求められます。
ヨーロッパの生産業者と輸出業者は、買い手の要望にしたがって牛の各部分肉を提供しています。日本と香港向け輸出の大部分は冷凍肉ですが、切り分けて真空包装したものを冷蔵輸送することも可能です。これまで、日本と香港の取引先からお問い合わせをよくいただいたのは次の部位です:
1. タン

万能の食材として特に日本人に重宝されています。脂身がのり、独特の香りと味がします。
2. ネック

まえの首から背中にかけての部位です。肉は締まりが良く、肉汁も豊かでサシが入っています。オーブン焼き、直火焼き、じっくりと蒸し焼きにすることも、シチューやだし汁に用いることもできます。
3. 肩ロース

まえ(四分体)でも胸の上部にある胸椎と肋骨の上部を含めた部位です。繊維が粗く、筋膜も多いですが、サシ(脂肪交雑)が入っているのが特徴です。オーブン焼き、蒸し焼き、煮物、ステーキにも向いています。美味しい挽肉にもなります。
4. カタバラ

まえ(四半体)の下側にある部位です。骨と軟骨が旨味と深いコクをもたらすため、風味豊かなだし汁やスープを作るのにうってつけです。このほか、カタバラはシチュー、オーブン焼き、蒸し焼き、あるいは挽いてからカツレツ、バーガー、詰め物にもできます。
5. スネ

肘または膝までの骨付き(前脚の橈骨および後脚の脛骨と中足骨)の脚部です。コラーゲンが豊富で、筋や腱が多いので、じっくりと煮込む、オーブン焼きにする、または蒸し焼きにしてだし汁、ゼリー寄せ、挽肉を用意するのに向いています。挽肉は粘り気が強いため、バーガーの材料としても重宝されます。
6. スジ肉

コラーゲンが豊富で、そのほとんどは牛の脚から取り出されます。煮込むとコラーゲンと深い旨味が引き出されるため、和食を含め、アジア料理で活用されています。筋ばかりなので、8時間くらい長く煮込んで柔らかくします。スジ肉を用いれば、豊かでコクのあるだし汁が仕込めます。
7. サンカクバラ

胸部の真ん中にあり、肋骨は含むものの肋軟骨は除かれた部位です。層状に重なった筋肉に筋膜とサシが入っています。サンカクバラはスープのだし汁のほか、長時間の蒸し焼きや煮込みに向いています。骨を取り除いて詰め物を作ることもできますし、骨を付けたまま蒸し焼きかオーブン焼きにし、定番のスペアリブとして甘酢ソースなどをかけて楽しむこともできます。
8. サガリ

ハンガーステーキとしても知られる横隔膜の最も美味しい部分です。しっとりと柔らかく、どんな料理にもぴったりです。特に、手早く焼き上げるミニッツステーキに好んで用いられます。
9. ウチモモ

後ろ脚の中でもきめが細かくわずかに筋を含む赤身の塊です。柔らかいため、肉巻きなどの包む料理に好んで用いられます。また、ステーキやシチューにも向いています。
10. シンタマ

後脚部にある骨付きできめが細かく肉汁が豊かな部位です。丸焼きにしても良し、細かくしてミニッツステーキにしたり、さっと炒めて熱を加えたりするのにもってこいです。
トリミング

牛を解体して部分肉を切り出した後に残った部分を、肉と脂の割合にしたがって分類したものです。主に、挽肉用とされます。