アジア市場をはじめ、世界各地で定評を築いているEU産牛肉の魅力は、豊富なタンパク質、鉄分、ビタミン、抜群の風味にとどまりません。
EU産牛肉の確かな品質
欧州連合(EU)は、ブラジルと中国に次ぎ、世界第三の牛肉生産地域です。その生産量は世界全体の13%を占めています1。厳格な基準を守って育まれた欧州牛の肉は、伝統製法で熟成され、高い品質を維持し調理に適した状態で消費者に届きます。EU産牛肉は次の点でも秀でています:
- 栄養価:EU産牛肉は、脂身が5%以下と少なく、タンパク質の割合は18~23%、そして亜鉛分と吸収性に優れるヘム鉄分は100gあたりそれぞれ3.8mgと2.5mgにのぼり、リンも豊富です。植物からは摂取できないビタミンB12をはじめ、A、D、E、B1、B6、ビオチンといった各種ビタミンの摂取源としても優れています。
- 色沢:EU産牛肉の色沢は、牛の品種や月齢だけでなく、温度、放牧の頻度、牧場に生えるさまざまな植物を含んだ粗飼料(青刈り)の摂取量といった飼育環境にも左右されます。
- 風味と旨味:脂肪交雑によって風味と旨味が左右されます。ヨーロッパでは飼育環境を良好に保つことで、理想的な霜降り具合を実現しています。
- 食感:性別や月齢のほかに、熟成の良し悪しも食感を左右します。屠殺直後の牛肉は硬直して固すぎます。しかし、熟成させることにより、肉のタンパク質が分解され、きめ細かく柔らかくなります。乾燥熟成とウェットエイジングのどちらを選ぶか、そして熟成時間と温度をどう調整するかが鍵となります。
魅力は豊かな味わいと栄養価にとどまりません。EUでは、肉牛飼育農家と食肉生産業者が各段階で厳格な基準を守っています。飼育環境の監督、畜牛への配慮、危害要因分析に基づく必須管理点(HACCP)による衛生管理、域内で認可された飼料のみの給与、認証条件の明瞭化により、EU産牛肉の品質が高く維持されています。
アジア市場でも好評なEU産牛肉
EU産牛肉の確かな品質は域内でもアジア市場でも定評があります。例えば、ポーランドで2023年に生産された牛肉51万5000トンのうち、95%もが輸出されています2。
アジアの主要市場である日本と香港は、いずれも需要量に対して、地元での生産量が不足しています。2022年だけでも、日本と香港はそれぞれEU産牛肉を1万800トンと3100トンも輸入しています。いずれの市場も、特に冷凍牛肉と牛内臓肉を主にポーランド(2022年にそれぞれ7200トンと659トン)とアイルランド(2200トンと1710トン)から輸入しています3。
日本向け牛肉は、輸出証明プログラムで定める要件を満たす業者のみが輸出できます。香港へは、所定の要件を満たすEU加盟国を原産地とする牛肉のみ、冷蔵・冷凍冷却条件を満たしつつ、輸出が認められます。ポーランドやアイルランド以外にも、ベルギー、デンマーク、フランス、スペインといったEU加盟国で生産された牛肉はいずれも、厳しい要件を満たして輸出されていますので、より一段と確かな品質が保証されています。
- 米国農務省海外農務局(2024年)、Livestock and Poultry: World Markets and Trade、公式サイト:fas.usda.gov [閲覧日2024年7月6日] ↩︎
- Kowalewska 2024年)、 Światowa produkcja wołowiny może wzrosnąć、 2024年 4月 25日公開「 Food & Agro Sonar」、 BNP Paribas Bank Polska公式 YouTubeチャンネル [閲覧日 2024年 7月 6日 ] ↩︎
- 統計 データはいずれも 欧州委員会サイト trade.ed.europa.eu より 収集 [閲覧日 2024年 7月 6日 ] ↩︎