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2023.11.28

EUの養牛を支える天然資源

EUは、変化に富む風土と天然資源に恵まれ、養牛が盛んです。放牧地には、さまざまな植物や動物が生息しており、遺伝子資源の宝庫です。この生物多様性が、生態系を安定化させ、持続可能性を確保しています。

EUの草地

採草地と放牧地は、人と自然が共生関係を維持する独特の環境です。人に手入れされながら、何千年もの年月を経て進化した生態系では、多様な植物と動物が見事に調和しながら生息しています。生物多様性のオアシスとも言える、これらの草地の恩恵を受けて、家畜も育っていきます。

EUでは、域内面積の8%を占める5700万ヘクタールの採草地と放牧地が広がっています[1]。かつては原生林で覆われていましたが、文明が栄え、人口が増加するにつれ、森は農地に姿を変えていきました。痩せた土地や湿地は、人が家畜を飼育するための採草地や放牧地になっていきました。かつて、草地は珍しく、湿地や森林限界よりも高い地域にのみ分布していましたが、人々の営みにより、各地で多様かつ特徴的な生態系が形成されていきました。採草地も牧草地も重要な役割を果たしているため、EUでは森林化や農地化などからこれらを保護する規制が導入されています[2]

EUの養牛を支える草地

採草地と放牧地に生える多様な植物は、家畜の生育に不可欠な栄養源となります。放牧牛は、大自然の中でのびのびと過ごしながら、主要栄養素や微量栄養素など、体が必要とするあらゆる栄養を自分で摂取できます。牧草地のハーブ類は、貴重なビタミン源となるとともに、代謝を促す重要な役割を担っています。

家畜のハーブ摂取は、いろいろな意味で重要です。乳腺を刺激し、授乳を促すハーブもあれば、動物由来製品の風味を向上させるものもあります。良い環境で飼養される牛は、より健康で長く生き、より多くの乳を出すことが経験則として知られています。逆に、劣悪な使用環境や飼料は、確実に牛の健康を損ない、結果として生産性も低下します。

家畜の健康維持にはビタミンDも不可欠ですので、自由に牧草を食べ、動き回れる環境は重要です[3]。このビタミンDは、牛の体内のカルシウム濃度を一定に保つうえで、決定的な役割を担っています。この摂取により、骨の健全な成長と石灰化、細胞増殖、免疫系の機能を確保できます[4]

空気を清浄に保つ取り組み

地球のありとあらゆる生物の健康と暮らしの維持のために、空気は欠かせませんので、それをなるべく清浄に保つ努力が必要です。EUも、環境に悪影響を及ぼさない、清浄な空気を守るべく長期的な目標を立てて、取り組みを進めています。この一環で、EUは各種法律を制定し、大気汚染を定期的に監視する欧州環境機関や国際機関、国家機関、地方組織、地方自治体と協力し、各種試験を実施しています。

2013年にもEUは、大気汚染をさらに規制すべく、「ヨーロッパのきれいな空気」パッケージを導入しました。

このように、きれいな空気と天然資源を守る取り組みにより、ヨーロッパの養牛環境はさらに向上しています。放牧に加え、穀物の飼料への配合も、乳牛や交雑牛の健全な成長を促し、EU産牛肉の柔らかさ、美味しさ、そして確かな品質を確保するのに一役買っています。


[1] https://www.kpodr.pl/category/ptaki-polskie/page/2/?print=print-search

[2] Unijna strategia ochrony różnorodności biologicznej na okres do 2020 r. Różnorodność biologiczna [The EU biodiversity strategy to 2020. Biodiversity] [online]. Komisja Europejska ss. 6. [Dostęp: 06.07.2018]. Dostępny w Internecie: http://ec.europa.eu/environment/pubs/pdf/factsheets/biodiversity_2020/2020%20Biodiversity%20Factsheet_PL.pdf

[3] https://podr.pl/wp-content/uploads/2021/02/Dobrostan-zwierzat-gospodarskich.pdf

[4] https://www.vetpol.org.pl/dmdocuments/ZW-09-2018-03.pdf