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新着情報

2022.09.28

上質のEU産牛肉

EUは牛肉生産の各工程において厳格な基準を設け、産地を追跡にすることで、意識を高め上質な牛肉を買い求めている消費者が、より社会や環境に配慮ある消費行動がとれるようにしています。家畜と環境に配慮しつつ、上質な食肉を入手しやすくできるよう、欧州グリーンディール政策で展開される農場から食卓まで戦略とEU規制との緊密な連携が図られています。

品質管理 

品質を高く維持するためには、適切な管理システムが機能する必要があります。EU加盟国共通の規格が一貫して導入されることで、信頼のおける食肉生産業者のネットワークが形成されています。

牛肉の品質は、遺伝(品種)、環境、飼料などによって左右されます。牛肉の販売が認められるためには、屠畜、枝肉の輸送と加工などの各生産段階において、記録や獣医ケアをはじめとする手順が正しく守られることが前提となります。EUでは、食品産業の組織化を進めて強化すべく、農場から食卓まで戦略に則る規制が導入され、食肉製品の産地情報について、透明性の確保が義務付けられています。このおかげで、消費者は包装の表示から簡単に、中身の肉の産地を把握することができます。

認証

私たちの社会では、食品の生産過程についての関心が高まっています。このため、生産業者は認定機関からの検査を受け、必須認証やさらに別の認証を自主的に取得することで、市場での地位強化に取り組んでいます。

食品の安全を守るための危害要因分析にもとづく必須管理点(HACCP:通称ハサップ)

食品業界では、正しい衛生管理や記録のないまま、製品が店頭で販売されないように、危害要因を洗い出して取り除くための管理システムであるHACCPの導入が義務付けられています。この危険要因分析にもとづく必須管理により、食品が適正に生産されたかどうか、買い手は簡単に確認できます。この認証により、対象となる食肉の生産、加工、または流通施設の状況が外部機関によって正しく評価されていることが証明できます。

国際食品規格(IFS)と英国小売業協会による食品安全認証のためのBRCグローバルスタンダード

IFS認証は、HACCPによる管理が行き届いている業者などに対して交付されます。幅広い業界において、国際基準を満たしていることを証明して、自社ブランドを確立する目的で、自主的に取得されています。IFSは、品質管理システム、検査項目、評価基準を統一するために設けられた認証制度です。IFSの各種食品認証を取得すれば、取引先、顧客、供給業者から信頼を集めることができます。EU域内での食品関連法令遵守も取得条件となっています。食品の高い品質は、BRC認証制度でも証明することができます。IFS食品認証と同様に、申請にはHACCP導入と生産工程の明文化と厳格な管理が前提となっています。BRC認証は、食品サービス、包装、加工、保存、流通に携わる業者にとって特に重要とされています。

QMP認証Quality Meat Program

QMP認証は、肉質にこだわる業者に対して交付されています。牛肉製品に対するこの認証は、上質な肉をつける品種が厳選されたことも示しています。この取得を目指す養牛農家は、牛が自由に動き回れるようにフリーバーン牛舎[TH1] を採用するなど、牛への思いやりを徹底しなければなりません。それは、本来の行動が制限されるなどで、牛たちがストレスを感じて育つと肉質も落ちるからです。QMP認証を受けた牛肉は、冷凍も牛脂注入もなされていません。厳しい認証取得条件を満たした業者によって、柔らかく、香り豊かで、色沢が良好な牛肉が厳選されています。

最良の慣行

  • 適正農業規範(GAP

EUは、世界を脅かす気候変動を深刻に受け止め、環境保全に向けた一連の規格を導入しています。適正農業規範にもとづくGAP認証は、畜産農家には取得が義務付けられていないものの、持続可能な畜産に取り組む農家に対して交付されています。

この規範は、家畜の健康維持をはじめとし、持続可能な養牛、環境に配慮した合理的な施肥など、あらゆる生産工程に及びます。認証は、所定の条件を満たす品質管理システムを整備した生産業者の団体や個別の養牛農家が申請できます。

適正衛生規範(GHP)と適正製造規範(GMP

いずれの食肉関連施設においても、適正衛生規範(GHP)と適正製造規範(GMP)の遵守は、HACCPによる管理システムの基本となります。これらは、食品業界の労働現場での衛生維持を目的としています。GHPでは、機能的なインフラと施設の整備も求められます。機材の適切な清掃と廃棄物や汚水の処理も不可欠です。従業員は、労働安全衛生研修をしっかりと受け、衛生と防疫管理のために有効な診断書を提出することが求められます。GMPは、各種パラメータについて、EU域内での要求水準が守られているかどうか、生産の各段階で品質評価を義務付けることで、枝肉を各種のリスク要因から守っています。

EU域内の品質認証制度

EUは、農場から食卓まで戦略のもと、有機農業を奨励しており、有機農家の農産物を特定しやすいよう、緑の葉のマーク(ユーロリーフ)といった品質認証制度を導入しています。持続可能で自然に配慮した農法で栽培され、このような表示がなされた農産物は、着実に人気を集めています。

EUでは、域内の農業を支援し、豊かな食文化の伝統を広め、築かれたブランドを守る取り組みが進められています。原産地を強調し、そこでのノウハウを活かすべく、原産地名称保護(PDO)制度が整備されています。消費者は、手に取った製品の表示を確認することで、各生産工程がどこで行われたか、正しく把握することができます。これに加え、地理的表示(GI)保護制度のもとでは、食品生産のいずれかの段階で鍵を握る産地とその産品について、ブランドが保護されています。そして、伝統的特産品保証(TSG)制度のもとでは、代々の伝統製法により地元の農産品を用いた食品のブランドが守られています。

検査体制

EUでは、食肉とその加工品の各パラメータについて加盟国共通の基準を設け、業界の透明性を維持しています。サプライチェーン全体で基準が守られるよう、情報技術を駆使した確認が可能となっています。検査項目としては、養牛環境、域内で認められた飼料のみでの給餌、養牛から屠畜にいたるまでの牛へのいたわりと配慮などが挙げられます。HACCPにもとづく、食肉加工の各段階での衛生管理も基本となっています。店頭に並ぶ食肉の品質を高く維持できるよう、EUは保存施設や加工施設にも規制を導入しています。何らかの違反があった場合は、脅威を早期に特定して排除するために、食品・飼料早期警告システム(RASFF)を通じた警告が求められます。危険が生じた場合は、管轄の食品安全当局は直ちにこれを公表することになっています。また、問題の再発を防ぐべく、EUレベルまたは各加盟国のリスク管理担当者は、RASFFを構成する欧州食品安全機関(EFSA)による科学的助言にしたがい、検査規則と方法、および食肉の品質監視プログラムをたゆまず改善するものとされています。

EUが牛肉生産で世界を主導しているのには、きちんとした理由があります。牛肉の品質は、さまざまな要因が複雑に絡み合って決まります。EUは、食肉生産施設が守るべきルールを統一し、認証と生産工程に対して明確な基準が設けることで、質の高いヨーロッパ産牛肉に対するさまざまな地域での旺盛な需要に応えています。