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2022.04.06

「ポーランドにおける持続可能な養牛と牛肉生産に向けた取り組み」

養牛と牛肉生産は、ポーランドにおいて経済と環境の面で重要な役割を果たしています。牛肉業界は、同国が循環経済モデルに移行し、持続可能な資源の有効活用を実現する上で、大きく貢献する可能性を秘めています。

良好な気候と農業条件に恵まれたポーランドは、自然と調和しつつ持続的かつ効率的に牛肉を生産することで、競争力を発揮することができます。豊富な農業資源を活かし、養牛農家は自家製の粗飼料と濃厚飼料をふんだんに牛に与えることができます。採草地と放牧地の割合が大きいことから、長期間の放牧が可能となっています。このような放牧の活用により、牛の健康と福祉、さらには肉質が良好に保たれています。また、有機肥料で栽培された質の高い豊富な自家製飼料の活用もポーランド産牛肉の品質を支えています。砂地が多く、降水量が少ないポーランドでは、有機肥料の施用は欠かせません。

養牛の集約化はポーランドでも徐々に進んでいるとはいえ、西欧、米国、豪州といった競合地域に比べるとまだ圧倒的に家族経営の農家が中心的な役割を果たしています。小規模かつ粗放的に営まれるポーランドの養牛は、肉質の高さにつながっています。

ポーランドでの肉牛飼育は乳業とも深くつながっています。肥育素牛も屠畜される成雌牛も、その大部分は乳牛飼養農家が出荷しています。このような連携は、肉用牛と乳用牛の交雑種も自然哺乳で肥育できるため、自然と調和した生産モデルといえます。また、養牛目的の多様化により、農家も生産や取引リスクを適切に管理することができます。

家族経営で肉牛を飼育するポーランドの農家は、十分な労働資源と資本を活用し、牛が快適に過ごせる畜舎、飲料水へのアクセス、放牧スペースをきちんと整備しています。栄養豊富な飼料を貯蔵し、牛たちに十分に与えられるよう、農場設備も整備されています。また、家畜ふん堆肥も専用設備で正しく貯蔵され、環境への悪影響が抑えられています。

ポーランドの牛肉業界は、EU域内で義務付けられた家畜の福祉についての基準および適正製造規範や適正衛生規範をしっかりと守っています。赤肉加工においては、食品安全性を確保すべく、HACCP(ハサップ)など、義務付けられた品質管理システムが導入されています。ポーランドは牛肉の大部分を輸出しているため、多くの輸出業者はさらに取引先のニーズに対応しながら、自主的にQACP、ISO 9000、IFS、BRCなどの品質管理システムも導入しています。

また、ポーランドの牛肉業界は、農業・農村開発省の認定を受けたQMP (Quality Meat Program)という食品の品質認証システムを導入しています。これにより、小売業者と消費者の間で牛肉の品質に対する信頼が高まり、そのイメージも向上しています。QMPを通し、養牛農家、飼料生産者、畜牛輸送業者、牛肉加工業者も、独立認定機関による検査を受け認定を取得することができます。牛肉に「QMPシステム」という認証表示があれば、養牛、飼料生産、輸送、屠畜といった各段階で国内市場での売買が認められる品質基準を十分に満たし、肉汁が豊かで柔らかいことを証明できます。このように、ポーランドの牛肉業界は、持続可能な生産・加工そして品質を確保すべく各種の基準を導入することで、国際市場においても競争力を維持しています。